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Green Iron Project |
ドイツの電解槽メーカー、ティッセンクルップ・ヌセラが、オーストラリアのグリーンアイアンプロジェクトに主要サプライヤーとして参画します。これは、製鉄業界の脱炭素化に向けた重要な一歩です。同社は豪州のプログレッシブ・グリーン・ソリューションズ(PGS)が推進するミッドウェスト・グリーンアイアン・プロジェクトに、合計1.4GWの電解槽を供給します。この技術は、グリーン水素の生産に不可欠です。このニュースは、世界の鉄鋼サプライチェーンに大きな影響を与えるでしょう。
豪州の野心的なグリーンアイアン生産計画
PGS社は、このプロジェクトで年間700万トンの環境配慮型ペレット生産を目指しています。そのうち半分は、年間250万トンのグリーンアイアン(グリーンHBI)製造に使用されます。PGS社は2029年に初のHBI輸出を予定しています。この計画は、鉱山から港湾まで既存のインフラを活用した統合サプライチェーンを構築します。最終的には、年間3000万トンのDRグレードグリーンペレットと1000万トンのグリーンHBIの生産と輸出を目標にしています。
業界大手からの懐疑的な見方
このプロジェクトは野心的ですが、業界内には懐疑的な声もあります。大手鉱山会社リオ・ティントは、オーストラリアでのグリーンアイアン産業発展に経済的インセンティブが不足していると指摘しました。また、BHPも同様に、この産業開発には多大なコストがかかり、投資が回収できない可能性があるとの見解を示しています。これらの意見は、大規模な脱炭素プロジェクトが直面する経済的な課題を浮き彫りにしています。
金属フォーカス 編集部コメント
ティッセンクルップ・ヌセラの参画は、脱炭素製鉄への技術的コミットメントを示します。しかし、リオ・ティントやBHPが指摘するように、経済的実現性というハードルが依然として存在します。このギャップを埋めるためには、政府の政策的支援や技術革新が不可欠です。グリーンアイアンが今後の製鉄業界の主流となるか、今後の動向を注視する必要があります。