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Development of India Key Mineral Recycling Capabilities |
インド政府は、重要鉱物のリサイクル能力開発に150億ルピー(約1.7億ドル)のインセンティブ制度を承認しました。この新たな措置は、「国家重要鉱物ミッション」の一環です。E-wasteやリチウムイオンバッテリーのスクラップといった廃棄物から、コバルト、リチウム、レアアースなどの重要鉱物を抽出することを目指します。これにより、年間最大4万トンの重要鉱物生産を目指し、国外への依存度を減らす方針です。
リサイクル能力拡大と支援策の詳細
インド政府は、このインセンティブ制度を通じて、年間27万トン以上のリサイクル能力を構築します。特に注目すべきは、最終的な重要鉱物の抽出に焦点を当てている点です。単なるブラックマス生産には補助金は適用されません。このスキームは、2025年度から6年間実施されます。新規事業だけでなく、既存の小規模・大規模リサイクル業者も対象です。中小企業向けに全体の3分の1の資金を確保し、業界全体の底上げを図ります。設備投資補助金として、プラント、機器、関連設備費用の最大20%を補助します。さらに、売上に応じた運営費補助金も提供します。
インドの戦略的サプライチェーン構築
インドは今年に入り、国内リサイクル産業の原材料コスト削減のため、一部の重要鉱物の関税を撤廃しました。今回のインセンティブ制度は、それに続く重要な政策です。これにより、国内での重要鉱物のバリューチェーン全体を強化します。電気自動車(EV)や再生可能エネルギー技術の急速な発展に伴い、重要鉱物の需要は世界的に急増しています。インドは、リサイクルを通じて自給体制を確立し、将来的な供給リスクを低減することを目指します。
金属フォーカス 編集部コメント
重要鉱物を巡る国際競争は激化しています。インドの今回の動きは、単なる産業振興策に留まりません。地政学リスクや環境規制の高まりを受け、サプライチェーンを内製化する重要な戦略です。この計画が成功すれば、インドは将来的に重要鉱物の主要供給国としての地位を確立する可能性があります。グローバルな投資家やメーカーは、インドのリサイクル市場の動向に引き続き注目すべきです。