インドが英鉄鋼輸入関税割当(TRQ)を巡りFTA譲歩の見直しを検討

India FTA


インド政府は、英国による新たな鉄鋼輸入関税割当(TRQ)制度に対し、自由貿易協定(FTA)上の関税譲歩を見直す可能性を示唆しました。インドの製鉄業界は、英国が計画する厳しい輸入枠制限と50%の超過関税が自国製品の市場アクセスを著しく阻害すると懸念しています。インド政府関係者は、英国側がインド産鉄鋼を保護措置の対象から除外しない限り、FTA交渉における合意内容を再考せざるを得ないとの姿勢を強めています。


鉄鋼保護措置とFTA交渉の対立軸

英国政府は、鉄鋼保護措置とFTA交渉を完全に別個の問題として扱っています。英国側の見解では、既に署名済みのFTA条件を一方的に変更することは極めて困難です。しかしながら、インド側は国内の製鉄メーカーを守るため、英国の強硬な貿易防衛策に対抗するカードとして関税譲歩の凍結をちらつかせます。インド産鉄鋼の市場防衛は、両国の通商関係における喫緊の課題として浮上しました。


閣僚会談による事態の打開へ

ピーター・カイル英ビジネス担当大臣は6月2日にインドを訪問し、ピユシュ・ゴヤル商務大臣と協議を行います。今回の会談では、2025年5月に署名したFTAの早期発効に向けた道筋を探ります。一方で、英国は欧州連合(EU)とも鉄鋼輸入枠の免除に向けた交渉を進めています。クリス・ブライアント貿易担当大臣は、地元産業保護を名目とした相互の貿易制限を回避すべきだと主張します。英国が「Made in Europe」構想へ参加し、グローバルな鉄鋼サプライチェーンの安定化を先導できるかが今後の焦点です。


金属フォーカス 編集部コメント

本件は、カーボンニュートラルや国内産業保護を目的とした各国の貿易防衛措置が、先行するFTAの枠組みといかに衝突するかを示す好例です。英国による保護策が、将来的な重要鉱物や高付加価値鋼材の調達網に与える影響は大きく、インドとの交渉結果次第ではグローバルな金属供給戦略に再考を迫る可能性があります。


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